以前、別のブログに掲載したマイケルとわれわれの出会いの物語です。
掲載からすでに8年、出会ってから11年と5ヶ月にしてマイケルは空に帰って行きました。
当時はまだ猫舎ポポキラニはなく、マイケルはわが家の3匹目のペットとして、茶畑の見える家の住人となりました。
今年の10月19日夜にわが家の保父職を辞して、空の上の住人となりました。
いっぱいの愛と思い出を残したくて、こちらのブログに転載することにしました。
生き物と暮らすのは、本当に素晴らしいことだと思います。
嬉しいことも、腹が立つことも、ドキドキも、笑いも… 人生の感情のジェットコースターのような時間をマイケルとも過ごすことができました。
先住猫のドンとレオンのふたりがマイケルを3匹目の猫として快く受け入れてくれたから始まった物語です。
この実話のエンディングに関しては、もう決して書くことができないと思います。 ですから、終わりのない物語のスタート部分で完結する中途半端なブログです。それでも、茶畑の横の小さな家に、この大きな心を持つ猫は存在しました。
ドンとレオン、そしてその後わが家に来てくれた子達、わが家で産まれてくれた子達の全てに、このマイケルとの出会いを文字にして伝えたいと思います。
出会いに感謝して。
2018年10月22日(マイケルを荼毘に付した日の午後)
2010年7月20日(火)
マイケルと言う名の猫
マイケルと私たちの出会い。
マイケルがどういうふにして大きくなったか。
日々の生活の中で、彼が何をどのように感じているのか。
書きとめておかないと、いずれ風化してしまう大事な記憶。
そんな思いを込めて、マイケルの目線から書きつづっています。
彼の目線、彼の感覚は、決して想像の域をでるものではありません。
そういう意味では、フィクションでもあります。
マイケルがいたから今のもふもふ軍団がいる。
第一章
*出会い
ある日気がついたら、ぼくは低~い木の上に居た。
ある日気がついたら、ぼくは低~い木の上に居た。
無我夢中で鳴いていた。
決して泣いていたわけではない。
ただ、ただ、お腹が空いていただけ。
人の世界の暦では、6月という時期。
でも、そんなことは関係ない。
ぼくはお腹が空いていた。
凄~く、凄~く、空いていた。
鳴いても、お腹がいっぱいになるわけではなかったけど、ぼくは、ぼくがここに居ることを誰かに知ってもらいたかった。
お腹が空いているからって、声も出ないほど腹ペコだったわけではない。
だから、ぼくは頑張って大声で鳴き続けた。
「あっ、こねこの声!」
「どこで鳴いているのかしら」
「かわいい~♪」
「ばいばい~」
ぼくに声をかけてくれる人はそれなりにはいたんだ。
でも、誰もぼくを抱き上げてはくれなかった。
「一緒に帰ろう」とか、「おいで」とか言ってくれる人は誰も居なかった。
その時ぼくが欲しかったのは何か食べるもの。
だって、ぼくが登っていた低い木は、ニンズが“スーパー”って呼んでいるおおきなおうちの前にあったから。
食べられそうなものをいっぱい抱えたニンズが通るのに、でも、誰も、何も食べるものはくれなかった。
それでもぼくは大声で『めし~!腹減った~!』って叫び続けた。
その時には、空ははもう赤い色になって、白いふわふわも赤い色になって・・・
「あっ!猫の声、子猫だよ!」
「どこ、どこ!?」
「あの木の上」
「おいで、ちっちっちっ」
声のするほうを見たら、ロン毛の太った大きいおじさんと、これまたロン毛のチリチリ頭のおばさんが居た。
思わず「なんだ、このニンズは!?」と思ったけど、足を止めてぼくに声をかけてくれたのはこの二人だけ。
お腹と背中はくっつきそうだし・・・
とりあえず、木から下りることにした。
ひんやりした土の上に立った時のぼくの肉球の感触・・・ 今も忘れられない大事な思い出。
とりあえず、声の調子を柔らかくして・・・
「にゃ~ん」
「や~ん、可愛い!」
チリチリ頭のおばさんの黄色い声が頭の上から降ってくる。
低い塀を乗り越えて、アスファルトの地面に移動。
足の裏の肉球の感触は、ひんやりからごわごわしたものに変わった。
「すりすり」
すかさず頭をおばさんの足にすりつけてみる。
「○○××○!」
おじさんが、なんか言っている。
「な~ご! な~ごごごっ!(たべもの! たべものってば~!)」と、もう一鳴きしたら
すっと体が軽くなった。
ぼくの足はふわっと宙に浮いていた。
そして、目に見えるものの景色も一緒に変わった。
思わず「ぶるっ!」。 怖くなって体をゆさぶってみる。
思うように動けない。
そうか、ぼくはどうやら抱っこをされたんだ・・・
なんか懐かしい気もするけれど・・・ おっと今はそんな場合じゃないんだ!
ぼくは爪を立ててみた。
『ガギーン!』
爪は鋭い音を立ててぼくの指の先から登場。
でも、ぼくを握るニンズの手はゆるまない。 もう一回試してみる。
小さく「ひぃっつ!」というニンズの声が聞こえたけど、やっぱりぼくは自由にはなれなかった。
つづく
ケル吉ことマイケルと、我々は、2007年6月のとある金曜日にこんなふうにして出会いました。
私も、相方も仕事帰りで、金曜日ということもあって家の駅のそばのスーパーに寄って少し買い物をした帰りでした。
ケル吉は、大声で鳴いていました。 あの小さな体を楽器代わりして、唸るような低い声で鳴いていました。
彼の声を最初に聞きつけたのは、相方の方で、「どこだ?」、「どんな子だ?」ということで声のするほうに歩いて行きました。
すると、細い道路をへだてた向こう側に彼はいました。
はっきりとしたキジ模様と、真っ白な毛。
抱き上げたら、肉球はピンクで、磨いたようにピカピカでした。
まだ、引っ越して1ヶ月ほど。
そもそも猫と本のために引っ越したとはいえ、人間も、一緒に引っ越してきたドンもレオも新しい土地と家には慣れていない頃でした。
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